抹茶の立て方は、粉をふるい、量ったお湯を加え、茶筅を前後に動かすのが基本です。家庭で楽しむ薄茶なら、抹茶2g、湯60ml、80℃をひとつの目安にできます。ダマを防ぐ準備と、手首の動きから見ていきましょう。
「泡が立たないと失敗なの?」というところも気になりますよね。『ヨハクシロ』のテツです。テレビでみていてすごいなあと感じつつ気になって僕も引っかかった分量や泡の違いを、2026年10月に確認したお茶屋さんの説明をもとに整理しました。お茶の説明では「点てる」と書きます。
道具は「何に使うか」でそろえよう
抹茶を点てる道具というと、名前からして難しそうですよね。でも、家庭で一杯楽しむなら、粉を量る、ふるう、湯を量る、茶筅を動かす、という役割で考えると整理できます。いきなり道具一式を買う必要があるのか、僕もそこが気になりました。
中心になるのは、抹茶を入れる茶碗と、竹の穂が細かく分かれた茶筅です。茶筅は「ちゃせん」と読みます。今回紹介するのは茶筅を使う方法なので、スプーンで混ぜる手順とは分けて考えてください。
| 道具 | 使う場面 |
|---|---|
| 茶碗 | 抹茶と湯を入れ、茶筅で点てる |
| 茶筅 | 粉を湯になじませ、前後に動かして点てる |
| 茶こし | 点てる直前に粉の塊をほぐす |
| 茶杓・計量スプーン | 一杯分の抹茶をすくう |
| はかり・計量カップ・温度計 | 粉量、湯量、湯温を基準にそろえる |
茶杓は粉をすくう道具ですが、量を決める目的なら計量用のスプーンも使えます。茶こしは粉の塊をほぐすため、計量カップは湯量をそろえるため。見慣れた道具にも、ちゃんと出番があります。
一杯の分量は、ひとつのレシピを基準に
最初の一杯は、抹茶2g、湯60ml、湯温80℃を基準にしましょう。これは一保堂茶舗の薄茶の作り方です。普段のお茶の感覚で湯をたっぷり注ぐ前に、いったん量る。少量だからこそ、基準を持っておくと迷いません。
調べると、丸久小山園では抹茶約1.5gに湯約70mlという目安も紹介されています。数字が違うと「どっちが正解?」となりますが、別々の作り方なんですね。片方の粉量と、もう片方の湯量を無意識に混ぜないのがコツです。
茶杓何杯、小さじ何杯という表現は便利ですが、盛り方まで毎回同じにするのは難しいもの。味を比べたいなら、最初は重さと湯量を記録するのがおすすめです。好みを探すときの出発点になります。
ダマ対策は、お湯を入れる前がいい
粉に小さな塊があったら、古い抹茶なのかなと気になりますよね。抹茶は粒子が細かく、ダマができやすい性質があります。一保堂茶舗も、ダマがあること自体で品質が変わるわけではないと説明しています。
点てる直前に、一杯分の抹茶を茶こしでふるって茶碗へ入れます。塊をそのまま湯に入れてから頑張るより、先にほぐしておく方法です。茶こしは葉を取り除くためではなく、粉の状態を整えるために使います。
ただし、「ダマがあっても品質は同じ」という説明を、保存状態に関係なく飲めるという意味には広げません。湿気や香りの変化は別の話です。塊の有無だけで、抹茶全体の状態を判断しないようにしたいところです。
湯温と湯量は、目分量で済ませない
湯は一度沸かし、今回の基準である80℃にしてから60mlを加えます。「沸騰したてをそのまま」では、紹介した条件と変わってしまいます。温度計があれば、冷ます時間を勘で決めずに済みます。
何分待てば80℃になるのかは、湯量や容器、室温によって違います。ここを一律の待ち時間に置き換えるのは避けましょう。丸久小山園の目安も夏と冬で異なり、冷まし方に季節の違いが反映されています。
湯量も、茶碗の見た目から判断すると分かりにくいもの。大きな茶碗では60mlが少なく見えても、そこで追加すると濃さが変わります。点てる前に計量カップで量っておけば、手を動かすことに集中できます。
茶筅はぐるぐる回すより、前後に動かす
湯を入れたら、最初は底の抹茶が全体に広がるようにゆっくり混ぜます。いきなり勢いをつけるより、粉と湯をなじませるところから。丸久小山園の説明でも、この動きと、その後の泡立てる動きを分けています。
続いて茶筅を底から少し上げ、手首を前後に動かして点てます。祇園辻利では、アルファベットのmを書くような動きで紹介されています。茶碗の中で大きな円を描くより、前後の動きをイメージすると分かりやすいですね。
一保堂茶舗の基準では、手早く点てる時間の目安は15秒です。長く混ぜ続けることを目標にせず、準備した一杯を手早く仕上げましょう。時間、量、温度をそろえると、次の一杯との比較もしやすくなります。
最後は速さを落として、表面を整える
泡が立ったら、同じ勢いのまま終えるのではなく、仕上げの動きへ切り替えます。茶筅の先を泡の表面近くまで上げ、ゆっくり動かして泡を細かくします。点て始めから終わりまで、ずっと同じ速さではないんですね。
表面を整えたら、茶筅を静かに引き上げます。丸久小山園は、中央に泡が盛り上がるように上げる方法を紹介しています。ここは家庭で楽しむ一例として捉え、茶道のお稽古では習っている流儀の動きを優先しましょう。
きれいな泡を見ると、つい写真のような仕上がりを目指したくなります。でも、最初の一杯で見た目まで全部そろえなくても大丈夫。粉をふるったか、量をそろえたか、前後に動かしたか。手順のほうから振り返ってみましょう。
泡が少ないだけで、失敗とは決めない
抹茶といえば、表面いっぱいの細かな泡を思い浮かべますよね。けれど、泡をあまり立てない点て方もあります。祇園辻利も点て方は流儀によって異なるとしています。泡の多さだけを、すべての抹茶の合格基準にはできません。
テツ写真と同じ泡を目指すより、まずは一杯点ててみたい!
今回の方法で泡を目指すなら、湯を増やしていなかったか、茶筅を円形に回していなかったか、手順を振り返ってみてください。ただし、泡が少ない原因を一つに断定することはできません。写真だけで道具の良し悪しまで決めるのも早そうです。
口に粉の塊が残るなら、泡とは別に、ふるう工程を見直す余地があります。見た目の泡、口当たり、味の濃さは、それぞれ別の観察ポイント。僕なら「うまくいかなかった」で一括りにせず、気になった部分を一つ選びます。
薄茶と濃茶は、同じ作り方ではない
「もっと濃くしたいなら、粉を増やせば濃茶?」と考えそうになりますが、濃茶は濃く練って楽しむものです。ここまで説明した、茶筅を前後に動かして点てる薄茶の手順を、そのまま当てはめる話ではありません。
一保堂茶舗の例では、濃茶は抹茶4g、湯30ml、80℃で、茶筅をゆっくり動かして練ります。薄茶より粉が多く、湯が少ない組み合わせです。粉の量だけでなく、湯量と動かし方も一緒に変わるところがポイントです。
濃茶には抹茶の選び方も関わります。丸久小山園は、濃く練るため苦味や渋みの強いものは適さないと説明しています。家庭での最初の一杯なら薄茶から始め、濃茶を試すときは商品の用途まで見て選びましょう。
次の一杯は、ひとつだけ変えてみよう
飲んでみて濃く感じたら、次の一杯で粉量か湯量のどちらかを調整する、という考え方ができます。一度に両方を変えると、何が味に影響したのか分かりにくいですよね。基準の一杯を作った意味が、ここで生きてきます。
残った抹茶の保存も、次の味につながります。高温、湿気、光、ほかの食品のにおいには注意が必要です。保存方法は商品の表示に従い、冷蔵していたものは、冷たいまま開けて結露させないように気をつけましょう。
一杯分を量って、ふるって、湯を加え、手首を動かす。やることを順番にすると、抹茶の時間が少し身近に見えてきます。最初は粉2g、湯60ml、80℃の一杯から。泡の完成度だけに追われず、自分が飲みやすい味を探してみてください。





