FIFA会長選挙は、誰が投票して、何票集めると当選するのでしょうか。基本は加盟協会が総会で会長を選ぶ仕組み。ただ、候補者が2人か3人以上かによって、当選に必要な票の基準が変わります。
『ヨハクシロ』のテツです。僕が気になったのは「世界中のサッカーファンの支持が、そのまま票になるの?」というところ。2026年11月6日に確認できたFIFAの公開資料をもとに、立候補から当選までをたどります。
会長を選ぶのは、各国・地域のサッカー協会
FIFA会長を選ぶ場は、加盟協会が集まるFIFA総会です。ファンや選手が直接投票する方式ではありません。日本なら日本サッカー協会(JFA)が加盟協会として参加し、協会を代表する代議員が票を投じます。
票の配分は1協会につき1票。代表チームの順位、人口、サッカー市場の大きさで票数が増えるわけではありません。強豪国の協会も、小さな国・地域の協会も、選挙では同じ1票を持つんですね。
FIFAの加盟協会数は211ですが、毎回必ず211票が有効になるとは限りません。出席や投票資格、有効票の数が関係します。「加盟数」と「当日に数える票数」を同じものとして扱わないのが、この先のポイントです。
「出ます」と言うだけでは候補者になれない
立候補の手続きでは、加盟協会からの推薦と、合計5協会以上の支持表明が必要です。自国の協会が応援しているだけで条件を満たすわけではありません。「日本から出る」と「日本の支持だけで出られる」は違う話です。
候補者本人にも条件があります。推薦される前の5年間のうち2年間、選手やサッカー組織の役員などとして活動していることが求められ、審査委員会による適格性審査も通る必要があります。知名度だけで決まる入口ではないんです。
| 立候補の条件 | 何が必要? |
|---|---|
| 推薦する主体 | FIFA加盟協会 |
| 支持の数 | 合計5協会以上の支持表明 |
| 活動歴 | 推薦前の5年間のうち2年間、サッカーで積極的な役割を担っていること |
| 審査 | 審査委員会による適格性審査の通過 |
| 提出時期 | 総会開始の少なくとも4か月前までに、支持表明とともに書面で通知 |
ここで集める5協会以上の支持は、選挙への参加条件です。それだけで当選に届くわけではありません。僕は「推薦を集めた」というニュースを読むとき、候補者としての手続きがどこまで進んだ話なのかが気になります。
候補者が2人なら、最初から過半数で決まる
候補者が2人の場合、当選には有効投票の50%を超える票が必要です。たとえば有効票が211票なら、211÷2=105.5なので、必要なのは106票。ちょうど半分では足りず、半分を超える必要があります。
「初回投票は必ず3分の2」と覚えると、ここでずれてしまいます。3分の2という条件が出てくるのは、候補者が3人以上いる場合の初回投票です。投票回数だけでなく、その時点の候補者数も関係するんですね。
テツまず候補者は何人?そこから見ると、必要な票数を読み違えにくいです
3人以上が出たら、初回のハードルが上がる
候補者が3人以上いる場合、初回投票で当選するには、出席して投票資格を持つ加盟協会の票の3分の2が必要です。この条件では、有効投票だけを分母にする過半数の計算と、数える土台が違う点にも注意が要ります。
誰も届かなければ投票を重ねます。規約では第2回投票から最少得票の候補者を除外し、2人になるまで絞る仕組みです。2人になった段階では有効投票の過半数が基準となるため、初回の首位がそのまま当選者とは限りません。
仮に出席・投票資格のある協会が211なら、211×2÷3=140.666…となり、初回当選には141票が必要です。これは条件を置いた計算例。2027年の選挙で実際に必要となる票数を、先に確定したものではありません。
| 候補者の人数 | 当選の基本ルール |
|---|---|
| 1人 | 総会の判断により、拍手で選出することが可能 |
| 2人 | 有効投票の50%を超える票が必要 |
| 3人以上の初回 | 出席・投票資格のある加盟協会の票の3分の2が必要 |
| 初回で決まらない場合 | 投票を重ね、第2回投票から最少得票者を除外して2人まで絞る |
106票と141票、いつも固定ではないんです
「211協会だから106票あれば勝ち」と言いたくなりますが、それは候補者が2人で、有効票も211票という場合の数字です。欠席や資格停止、白票・無効票などがあれば、選挙の条件に応じて計算し直す必要があります。
過半数を計算するときは、白票や無効票、棄権を有効票に含めません。たとえば2人の争いで有効票が200票なら、200÷2+1=101票が当選ラインです。100票は半分なので、過半数には届きません。
一方、3人以上の初回投票では、出席・投票資格のある協会数が基準です。その数が210なら、210×2÷3=140票。数字だけを切り取らず「何を分母にした票数か」を添えると、開票結果の意味がつかめます。
誰が誰に入れたかは、秘密投票で守られる
候補者が競う選挙は秘密投票で行われます。支持を表明することと、投票内容が公開されることは別です。選挙前に「この候補を支持する」と発表した協会数を足しても、それが開票結果と必ず一致するとは言えません。
1協会から複数の代議員が出席しても、票数は増えません。規約上、代表団は最大3人ですが、協会として持つのは1票です。大陸連盟の代議員も、オブザーバーとして参加する立場では総会の投票権を持ちません。
候補者が1人だけなら、総会は拍手による選出を選べます。対立候補がいる選挙とは手続きが変わるわけです。「無投票で再選」という見出しでも、総会で会長を選ぶ仕組みそのものが省かれた、という意味ではありません。
会長になったら、何でも1人で決められる?
世界のサッカーのトップと聞くと、あらゆる決定権が会長に集まっているように感じます。ただ、FIFAの組織では役割が分かれています。会長はFIFAを代表し、総会や理事会を主宰しますが、組織全体の意思決定がすべて個人の権限になるわけではありません。
理事会はFIFAの戦略や方針を定め、事務局の運営を監督する組織です。日常の業務を担うのは事務局で、予算の承認などを行う総会にも別の役割があります。選挙は、その仕組みの中で代表を務める人物を選ぶ手続きなんですね。
規約では、会長は総会で投票権を持たず、理事会では通常の1票を持ちます。僕にはここも意外でした。「会長が支持した案」と「組織として決定した案」は同じ意味ではなく、どの機関が決めた話なのかで読み方が変わります。
| 組織・役職 | 主な役割 |
|---|---|
| 総会 | 会長の選出、規約改正、予算の承認など |
| 理事会 | 戦略・方針の策定と運営の監督など |
| 会長 | FIFAの代表、総会・理事会の主宰など |
| 事務局 | 事務総長の指揮のもとで日常業務などを実行 |
2027年はいつ選ぶ?任期は何年?
2026年11月6日時点のFIFA発表では、会長選挙を行う第77回FIFA総会は、2027年3月18日にモロッコのラバトで開催予定です。会長の任期は4年で、規約では男子ワールドカップの翌年に総会で選ぶとされています。
規約の「総会開始の少なくとも4か月前まで」という立候補期限を、この開催日に当てはめると2026年11月18日になります。立候補の意思表明があっても、書類の提出や適格性審査を経た候補者の確定とは区別が必要です。
僕が選挙報道で次に見たいのは、正式な候補者の顔ぶれです。候補者数が分かれば当選の基準が決まり、投票当日の出席・資格・有効票が分かれば必要票数を計算できます。人物の名前と一緒に、この数字も追うと選挙の見え方が変わります。





